習い事の「そろばん」はアリかナシか。そろばん有段者が解説する。

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今日は、私が小学1年生末から中学校入学してすぐまでの間に習っていたそろばんについて、その有用性や、その後の人生への影響について書こうと思います。

 

以下、そろばんがその後に及ぼす影響を考察するために、私とそろばんの出会いやレベル、周囲の同級生たちのそろばんのレベル、私の住む地域の教育レベルや進路について順に綴って行こうと思います。

 

そろばんの出会いから別れまでと、その効果について解説します。

 

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私とそろばん

始めた当初の学力

習い事としてのそろばんは、今の私の親世代には根強い人気を誇っていたようで、私の母もその周りにいた友人も多くがそろばん教室に通っていたと聞きました。

 

そんな母の影響もあってか、兄が小学校のすぐ近くにあるそろばん教室へ通い始めました。

 

そして私も同様に、末っ子の特性を遺憾なく発揮し、自分もやるんだと当然のように親に宣言し、そろばん教室に通い始めました。それまでは外で遊ぶことしか脳のない典型的なスポーツ少年が初めてそこでスポーツ以外のことを習うことになりました。したがってこの時点での学習の経験といえば、幼稚園の中で行われるものくらいでした。

 

 

辞めたきっかけ

そろばんは級が上がるに従い、暗算力が問われてきます。

 

全国珠算教育連盟の主催する(この他に日本商工会議所主催があります)珠算の段位の試験では、全員が同じ問題に取り組み、その点数で段位が決まるというシステムだったのですが、隣の受験者が問題の途中まで全く手元のそろばんに手を付けず途中からそろばんを利用して計算をし始めるということを目の当たりにしてしまい(実際には試験中は隣を見ることはできないので雰囲気を感じます。笑)、そこでそろばんをやめることを決意しました。

 

当時中学に入学してすぐ、取得した級位は全珠連2段、日商1級まででした。それまでは週に2~3度程度のペースで1時間ずつ通っていました。

 

通っていたそろばん塾について

 

そろばん塾は、通っていた小学校の真横にあり、多くの同級生が同じそろばん塾に通っていました。同級生だけでも20人程度は通っていたと思いますが、ほとんどの人が中学入学まで続けていたと思います。

 

そのうち最終的に有段者は5~6人、ほかは全珠連で3級程度の実力が多かったように思います。全珠連3級というとそろばんをある程度やったんだな、というくらいの実力です。単純な計算力とスピードだけでいえば、学年でも上位はほとんどこの辺りのそろばん経験者たちでした。当時、百ます計算がブームになっており、その順位表が張り出されていたのでこの記憶はかなり確かです。そろばん経験者と学年に4-5人いた中学受験組の日能研通いの生徒たちが上位を占めていました。

 

私の通ったそろばん塾では、実際にそろばんを弾く珠算のみならず、「ねがいましては」の合図で読み上げられた数字を暗算する読上算、更には、PCのモニター上に表示される数字を連続して足していくフラッシュ暗算を1時間の受講内に回していくというスタイルが取られていました。

 

どこの教室でもこのようなスタイルが取られていたかは存じ上げませんが、私の通っていた当時は、地域の大会で何人も入賞していたのでおそらくいい指導法だったのだと思います。

 

私と同様に他の生徒も週に2~3度、1時間ずつの授業です。私含め同級生は市や南関東のそろばん大会に出場して入賞していました。

いわゆる強豪のそろばん塾だともっと通う頻度は高くなりそうですが、この程度でも計算力はかなりつくと思っています。

 

本題「習い事のそろばんは役に立つか」

さて、本題に入ります。

そろばんというものが学問やその後に影響を与えるかという問いには結論から申し上げますと、

 

「与える場合もあれば、与えない場合もある。」

 

というのが、私の見解です。

 

では、与える場合というのはどのような場合なのか。

それは、

 

  • 早い段階でそろばんを始める
  • 暗算でそろばんが頭に浮かぶ
  • 有段者のレベルまで続ける

 

の3つの場合である(段階がある)と考えています。

つまり、いつまでに始めた方が良くて、どこまでやった方がいいかという問題なのです。

 

「早い段階でそろばんを始める」

そろばんでは前提として九九の知識が必要です。今の教育課程はわかりませんが、当時九九を習うのは小学校2年生でした。したがって、それ以前にそろばんをやっている人たちは、その時点で小学校の算数においてかなりのアドバンテージが有るのです。

 

また、先にも書きましたが、当時百ます計算が爆発的にブームを起こし、小学校の授業内でも速さを競うランキングが作成されていました。そこでも上位者は軒並みそろばんを習っている生徒でした。

 

今このような取り組みがあるかは存じ上げないのですが、その歳での多少の勉強におけるアドバンテージやランキングで上位に載るなどの成功体験は、その後の人生も少なからず左右するのではと思っています。

 

理想としては小学校入学と同時に始められれば、かなりスムーズに小学校の”計算”に関しては取り組むことができるのではないかと思います。また、数字に抵抗がないという下地づくりにもなります。

「暗算でそろばんが頭に浮かぶ」

そろばんをやっていた人が周りにいる人は、計算するときになにもないところで手を動かしている様子を見たことがあると思います。

あれは、頭の中に浮かんだそろばんを弾いているのです。

ちなみにこれを私は「頭の中のそろばん」と呼んでいます。

 

この「頭の中のそろばん」が頭の中に無意識に現れるようになったら、頭の中は計算の際に「頭の中のそろばん」に支配されます。

単純計算の際でも常に頭の中でそろばんを弾いています。

 

というよりも、”それ以外の方法で計算する”ことができないのです。

 

どういうことかと言うと、たとえ筆算を書いたとしても、どんなに簡単な式に分解したとしても、最終的にはそろばんを弾いて計算を行うような頭になっているのです。

 

このレベルまでくればそうでない人と比べたら大きく差が生まれるように思います。

小学校で要求される計算のレベルであれば、抵抗なく取り組むことができます。

 

例えるならば、止まったボールを打つようなものです。

では、これがどの程度で実現するかというと、そろばんを脳内に浮かべるだけなので割と早いです。

おそらく2-3年ほど普通に続けていればここまでは到達できます。

 

「有段者のレベルまで続ける」

このレベルまでそろばんをできる身の回りの人が、地域の平均的な層に比べて軒並み学力が高かったためこの章を設けました。

 

ここまで続けると、小中学校の算数・数学・理科の計算は暗算で済ませることができるのも事実です。高校でも、その後も、就職活動のSPIなどでも当然役に立ちます。

 

買い物かごに商品を入れながら頭の中でそろばんを弾いてピッタリお金を用意しておくこともできます。余談ですが、ちなみに私はキャッシュレス社会推進派です。キャッシュレス社会バンザイ。

 

有段者はもともと学力が高いのか、そろばんができたからそうなったのか、はたまた全く関係ないのかは断定できませんが、学力との関係で触れたいので一応この項目を入れておきます。

 

さて、学力とそろばんの関係については関心のある方も多いことだろうと思うので、次は実際の進路も交えて詳細を分析してみます。

 

前提「地域の教育レベル」について

私の通っていた地域の学校教育レベルは県内のレベルからすると、”普通”もしくはそれよりも少し劣るか、というレベルでした。

 

小学校は30人強×3クラスで学年約100人、そのうちの上位5人程度が中学受験し、残りは地元の中学に進学といった具合です。今はもう少し私立中学への進学が多いはずです。

 

中学校は30人強×4クラスで学年約130人。最上位層は早慶附属校、次いで県内外の地域トップ進学校。ボリューム層は偏差値50弱の公立or私立マンモス校でした。いわゆる学級崩壊を起こしており、授業が成り立たないこともしばしばありました。

 

中3の秋ごろになるとそれなりに皆焦りはじめ、受験期だけ真面目に授業を受け勉強するようになって塾に通い、そのまま受験を迎える子が大多数の一般的な公立中学校です。あと”普通の”中学校だったので”普通に”校庭に原付バイクが入ってくることもありました。今はそんなことはないと思います。

 

県内偏差値70超えはトップ6人ほどで、10位までが固定で上位層として固まっていました。ここまでが県内偏差値でいうと65くらいまで。その中にそろばん有段者は3人。これはかなり割合としてはかなり高いほうなのではないかと思います。

そろばん塾内の同学年有段者5~6人のうち1人は別の学校でしたが、学年トップだったそうです。

 

有段者の進路

有段者だった同級生の進路を見ると、別の学校で成績トップだった1人は県トップの進学校に1人(その後は東大へ)。

地区トップの公立校に私含め2人。友人はその後地方旧帝大へ。私は都内の偏差値60強程度の私大に進学しました。

ほかは市内トップの進学校に1人。1人は音楽の道を、1人は野球の道を選びそれぞれ進学しました。

 

有段者ではなかった他の同級生の進路を見ると、他の同級生と何ら変わりない、多少高めか(そろばん3級以上は県内偏差値55以上)といった感じでした。これはあくまでも高校入試での偏差値という観点で見たらなのですが、学力的にはそろばん有段者(上級者)は高かったように思います。

 

また、兄の友人たちも有段者は軒並み中学で好成績を上げ、県内上位進学校、MARCH・早慶附属校へと進んでいきました。

 

私の地域だとこの層は体感でトップ3~5%程度なので、そろばん有段者は勉強ができる人に占める割合が極めて高かったように思います。

 

まとめ

結論として、時にしてそろばんは非常に有用な習い事であると言えます。

 

こうして記事に起こして再びそろばんについて考えてみると、デジタル化が進み、ツールとしてのそろばんはそれほど必要なくなってきているのが現状かなというのが正直なところですが、頭や計算のトレーニングとしての役割はまだまだ果たしていけるのではないかという感想を持ちました。

 

勉強ができたり、偏差値が高いということが必ずしも正義であるとは思いませんが、進学塾で小学生から高校生まで指導した経験からも、親は子に勉強ができるようになってほしいものなのだな、と日々感じてきたので、そろばんと進路の関係を記事にしてみました。

 

また、進学塾で指導しているときに、勉強を教える段階ですでに苦手意識を持っている生徒は多くそれももったいないことだなあと思い、少しでも苦手意識をなくすためにそろばんというものを利用してみる手もあるのかなと思い今回のエントリーに至ります。

 

先にも述べたようにデジタル化が著しく進む昨今、そろばんをすることの利点は、そこまで表に出ることが多くないかもしれません。

よく右脳活性に役立つと言われますが、実感はなかなか得難いものがあります。しかし、「数字に苦手意識を持たない」というリスクヘッジ(勿論武器にもなり得ます。)としてはいい習い事の一つになるのではないでしょうか。

 

また、なにより、そろばんは”意外と”楽しいのです。(月謝も安くて家計に優しい)

気になる方は体験からでも一度そろばんに触れてみることを、有段者の立場としておススメしておきたいです。

 

以上、「習い事としてそろばんはアリかナシか」についてでした。

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