主人公の人間性に心打たれる。石塚真一漫画のススメ。(岳 みんなの山・BLUE GIANT SURPREME)

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eyecatch3コラム

 

 

石塚真一さんという漫画家をご存知でしょうか。

 

 

漫画好きの中では大変有名な方なので、今更何を。とお思いの方もいらっしゃると思います。

 

 

石塚先生は、小学館ビッグコミックで連載されている話題作「BLUE GIANT」シリーズ、ビッグコミックオリジナルで連載され、小栗旬さんが主演となって映画化された「岳 みんなの山」の原作者であり漫画家です。

 

 

私は石塚先生の描く漫画が非常に好きなのです。岳・BLUE GIANTシリーズともに、1巻から一気読みしてしまったほど見事にドハマリ。

 

その魅力を是非ともご紹介したく、こうしてブログに綴っている次第です。

 

 

非常に魅力あふれる人物と、心情描写。

 

時には読者を奮い立たせてくれるような/時には寄り添ってくれるようなセリフ。

 

 

心に刺さるような言葉選びと、その人生観に何度助けられたか数えきることができません。

 

 

そんな、私の尊敬してやまない石塚先生の異色な経歴と作品、その魅力をご紹介いたします。

 

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経歴

石塚先生は28歳に漫画を描き始めます。

 

その前は、アメリカの南イリノイ大学、サンノゼ州立大学在学中にはロッククライミングに没頭。

 

アメリカからの帰国後に1度は就職しましたが、その会社が勤めて約1年で倒産するという苦労人でもあります。

 

 

日本への帰国後、アメリカでの経験をもとに「岳 みんなの山」を描きはじめ、小学館のビッグコミックスにて連載を開始します。

 

私がこの石塚先生が好きな理由は作品そのものもそうなのですが、28歳という年齢から売れっ子漫画家になったというところにもあります。

 

アメリカ滞在中から漫画を描くことを考えていたようで、帰国後に独学で一から勉強して連載までたどり着くという大変なチャレンジャーであり、夢を追いかけることの素晴らしさを作中だけではなく、作者の石塚先生自身の人生そのものからも感じるのです。

 

代表作

BLUE  GIANT/BLUE GIANT SURPREME

1人の少年が、世界的なジャズプレイヤーを目指す、ジャズ漫画です。

 

日本人には馴染みの薄い音楽ジャンルであるジャズを題材としています。

 

私自身、この作品を読むまではジャズといえば、上野樹里さん主演映画「スウィングガールズ」や、カフェで流れている音楽というイメージが先行していました。

 

スウィングガールズはビッグバンド。

 

カフェで流れる音楽はゆったりと心地のいい音楽が多いです。

 

 

しかし、この作品でのジャズはバンド編成は3~4人。それもかなり激しめの。

 

 

作中で描かれるのは、即興やそれぞれのソロで音楽を組み立て、共鳴することで奏でていくオーソドックスなジャズスタイル。

 

 

主人公である宮本大の友人や家族など周りの人達も、本格的なジャズのことなど全くと言ってもいいほど知識がありません。

 

 

そんな中でも大は一心不乱にジャズに打ち込み、世界的なジャズプレイヤーを目指すという大変熱く夢のある物語なのです。

 

BLUE GIANTの特徴

この漫画が語られる時によく耳にする言葉があります。

 

それは「漫画なのに音が聴こえる」という言葉です。

 

私自身、この言葉を目にしたときは「いや、そんな馬鹿な」と思いました。

しかし、読んでいると本当に聴こえるんです。不思議なことに。

 

 

漫画を読み進めると、激しいジャズが頭の中に流れてくるんです。

 

 

ページをめくる手を進めると頭の中に音楽が流れてくる。

 

頭の中に音楽が流れてくるとページをめくる手が進む。

 

 

そうして気がつけば漫画を読み終えており、次の巻を読むのが待ち遠しくて仕方がなくなってしまうんです。

 

 

BLUE GIANTという作品はそういった魅力があるのです。

 

岳 みんなの山

1人の主人公の壮大な人生を描く「BLUE GIANT」とは対象的に、どちらかというと、短編集のような進み方が特徴的なのが、石塚真一先生のもう1つの代表作「岳 みんなの山」です。

 

主人公である三歩は世界中数々の名峰を渡り歩き、北アルプスで山岳救助のボランティアとして活動する登山家です。

 

 

文字通り山に住む山男。もとい、彼自身が山そのものだと表現しても過言ではないほど、山を愛する山人間。そんな山人間に出会った人々が、彼自身に、そして山に魅了されるという登山愛に溢れた漫画になっています。

 

 

山岳救助が題材であるこの漫画では、山の素晴らしさ、時に厳しさがリアルに描かれています。

 

 

そのリアルさには時に自分の人生観すらも揺さぶられます。死までもが淡々と描かれており、そんなところに衝撃を受ける人も多くいると思います。

 

 

しかし、そこに石塚先生の優しさが隠されていると思うのです。

 

 

日本は国土の約70%が山岳地帯である山岳国家です。

 

そんな国に暮らすわれわれ日本人に、特に若い人達に対して、この作品を通してもっと山を身近に感じてほしいと過去にインタビューで語っています。

 

 

その思いとは真逆であるかとも思われる、”山岳救助”という題材で描かれるこの漫画で、同時に非情なまでの厳しさがあることを示してくれているのです。

 

 

身近に感じてほしいという思いがある一方で、死に直結する厳しさがある。そのことを決して忘れずに。また、そのことを過剰に怖がらずに山を楽しんでほしいという石塚先生からのメッセージなのです。

 

石塚先生の漫画のルーツ

石塚先生は影響を受けた漫画家に浦沢直樹さんの名前を挙げています。

 

浦沢先生といえば、YAWARA!、20世紀少年、BILLY BAT、MONSTERなど、数々の名作を生み出してきた、日本を代表する漫画家です。

 

最近はパリ、ルーブル美術館を舞台にした「夢印」が出版されました。

 

 

 

 

 

 

絵を勉強し始めた時に、浦沢先生の絵をひたすら模写し続けていたそうです。

 

人物の描き方が非常に似ているので、本当に好きなんだなあということが作品の端々から感じられることだろうと思います。

 

漫画の特徴

魅力的な主人公

石塚先生の描く漫画の特徴は、なんと言っても魅力的な主人公です。

 

岳の主人公、島崎三歩。

BLUE GIANTの主人公、宮本大。

 

それぞれ山、ジャズが大好きな好青年。

 

共通して言えることはふたりとも周りに愛される人間だということです。

 

その理由を私なりに考えてみました。

 

まっすぐ

自分の信念をもとに人生をすすむ真っ直ぐさ。

 

この部分に共感する読者は大変多いと思います。

 

どんな困難にぶつかっても決してぶれない芯の強さがこの2人にはあります。

 

三歩は超がつくほどのポジティブ思考です。

その裏には、誰よりも悲しい出来事に遭遇した過去があります。

 

 

かたや、大のほうも同じく超がつくほどのポジティブ思考です。

その中には、自分を信じて疑わないという誰にも揺るがすことのできない強固な信念があります。

 

 

それぞれ同じくポジティブな人間ですが、タイプが違います。

 

全ての困難を受け入れ、包み込むような強さを持つ三歩。

決して折れず腐らず、自らの目標に向かい突き進む強さを持つ大。

 

 

私はこの2人に思わず嫉妬してしまうほどの、どちらも素晴らしい人間性の持ち主です。

 

 

そして、こんなに素敵な人間を描くことができる石塚先生の作品が大好きなのです。

 

まとめ

岳のほうはもう完結してしまっているので、続編が出ることはないのが悲しいところなのですが、BLUE GIANT SURPREMEは小学館のビッグコミックにて連載中です。

 

早く新刊が発売されないかと常にウズウズしております。

 

私自身、つらい時に読んで何度も助けられました。

 

「岳 みんなの山」、「BLUE GIANT」シリーズ共に本当に素敵な作品ですので、このブログを読んで、興味を持っていただけた方、ぜひとも読んでいただけたら幸いです。

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