個別指導塾での塾講師アルバイト時代に、こどもたちを数多く見てきて思ったことがあります。
それは「文章の読み飛ばしや、表面をなでたような読み方をする子が多い」ということです。
言うなれば、スマホの画面をスクロールするかのように。
インスタのフィードを眺めるかのように。
Twitterのタイムラインをさかのぼるかのように。
決してSNSを否定しているわけではなく、それらを見るのとに同じように文章を読んでいるのだったら、長い文章を読むのは相当難しいだろうなと素直に感じた、ということです。
地域密着型の個別指導塾でのアルバイト時代の話なので、生徒の層は学力中位~下位。中位層にもこういった読み方をする子は数多くいました。
中位層でもそのような読み方をする子は、とにかく暗記でゴリ押しする勉強法を取ることが多いという特徴があります。そして親も、我が子が勉強する姿は見ているのでなぜ伸びないんだろう、となるわけです。
そのような読み方をしていると、当然国語だけでなく他のどの教科でも、問題文の意図が読み取れないということが起きてくるので点数は伸びないです。そもそも、その読み方だと「読んだ」というよりも「見た」の方が表現としては近いんですよね。
じゃあ、これをいかにして読めるようにして、解ける問題を増やしていくか、というのが塾講師をしている中で最大の課題でした。
そこで実践したことが2つあります。
①「読んだことを絵に描かせる」
文字を絵に変換するには、情報をインプットする→考えて整理する→アウトプットするという作業が必要になります。これが読むことの訓練になるのです。また、言葉としてまとめてアウトプットすることが苦手な子というのは本当に多いので、まずは絵にしてもらうことから始めます。
そうすれば、アウトプットした絵を使いながらコミュニケーションを取ることもできるし、絵と文章を比べながら情報を足していってもらったりすれば、深く読むトレーニングになります。
次の段階には、今度はこれを記述でまとめるということが待っているのですが、絵のイメージがあれば、大筋がずれることや、主述がチグハグになることも減るのでステップアップするためにも絵を描くことは大変有効です。
②「抽象度の高い質問から文章に入っていく」
たとえば、時間を少し与えて「ちょっとここの文章読んでおいて」と伝えた後に軽い質問を2~3個投げかけてみます。その質問に答えられないときには、「じゃあどんな話だった?」と更に範囲を広げて質問します。
すると、全てと言っていいほどに子どもたちからは回答がくるのです。「どんな話」というのはとても抽象的なので、「面白い」でも「難しい」でも「簡単」でもいいんです。とにかくその文章を読んで何を考えたかを自分自身で認識するということが大切。
また、先程の「読んだことを絵に書かせる」というのは、論説文などには用いづらいので、論説文にはこっちの手法を取ることが多かったです。
そういった堅い文章の印象を聞くと大体「難しい」とか「何が書いてあるのか分からない」と返ってきます。
そうしたら論説文の場合は一歩一歩進む。特に接続語に注意しながら。接続語による文章の組み立てさえ理解できれば、「ここはさっき言っていたことを強調する為の文章だよね」とか、「ここのかたまりは”例えば”で始まっているから例を持ち出しているだけだよね」と文章のつながりが見えてきます。
「ここまではわかるけど、次のここに書いてある意味がわからないから読めていないんだ。」と、さらっと読むだけでは見えてこなかった弱点や問題が見えてくると、読めないことはないんだという自信にもつながります。
こうして、正面から文章に向き合ってもらうために、抽象度を上げた質問から文章へと入っていくということを実践していきました。
効果
この2つを実践したことで塾講師をしていた最終年には、受け持っていた中3生は学力を伸ばし、14人全員が第一志望校に合格しました。
勿論これは、講師であった私ではなく、本人たちの努力によるところが大きいです。しかし、この学習法が学力の伸びに大きく関係したと思っています。読み方を覚えた生徒たちの伸びは目をみはるものがありました。
まとめ
大人たちが思っているよりも、今の小・中学生は、文章が読めない子どもたちが多いです。
また、そういえば最近そんな本も出ていたなと思ったので私自身そのような子どもたちと接することも非常に多かったため、塾講師として実践してきて効果があったものをご紹介したく、今回こうして記事にしてみました。
今回のこの2つの手法は実際に塾講師として試行錯誤しながらたどり着いた方法で、特に勉強が苦手な子には効果的だと思います。これから受験を迎える学生やお子さんを持つ親御さんの参考になればとも思います。
また、もっといい方法がありましたら興味があるので教えていただきたいです。よろしくおねがいします。
以上、塾講師として見てきたSNS時代のこどもたちの読解力、でした。
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