フルリモートのデザイン学生の現状

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コラム

 

現在、私は渋谷にある桑沢デザイン研究所というデザインの専門学校に通っています。

 

今となっては「通う」ではなく「遠隔授業をうける」が正確かもしれません。

 

 

ご存知の通り、コロナウイルスが蔓延した影響により大学や専門学校での対面授業は制限されている状況です。

 

数ヶ月前に比べるとかなり施設の利用などは規制が緩くなってきたように思いますが、それでもまだ授業はフルリモート体制が続いています。

 

 

現在、2年制の夜間プロダクトデザインコースの2年目なので、昨年はフルで対面の授業を経験してきました。

そして、今年の前期は全てリモートでの受講を経験したので、両者を比較しつつ体験した感想や思いを書いていこうと思います。

 

昨今、Webサービスやアプリケーションなどのデジタル分野においてプロダクトデザインという言葉が使われるようになっていますが、ここでは工業製品のデザイン、インダストリアルデザインの意味で使います。

 

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授業

使用ツール

学校側が用意しているもの

  • Google Meet
  • Zoom
  • Google Classroom

学生側が主体的に取り入れたもの

  • Slack
  • Discord
  • Miro

授業内

基本的にオンライン授業はGoogle Meetで行われます。

講師の先生が画面共有やカメラ、音声入力を用いながら進行します。

学生側も同じようにそれらを使うことができるので、プレゼンでは自分の方で用意した資料を表示して発表しています。

 

グループワークの多い授業では、Zoomを利用していました。

Zoomにはブレイクアウトルーム機能がついており小分けにして作業グループを割り当てることができるのでMeetではなくZoomでという判断だったのだろうと思います。

 

講義についてはこれらを駆使しながら行われ、その中で課される課題はGoogle Classroomで配布され、提出するというのが主な流れです。

 

 

一方、昨年受けた対面授業では、各授業毎に毎週課題が出され、そのチェック、講評、レビューから授業が進んでいくことが多いです。

 

例えば、スケッチの授業では全員が描いたスケッチを掲示して先生が一つ一つコメントをしたり、描いた学生とのやりとりが行われるといった具合です。

 

スケッチの授業自体は昨年で終えているので、ここからは想像になってしまうのですが、これはオンラインだと結構辛いんじゃないかなと。

授業ではGoogle Meetを使うので、画面共有やカメラでの入力ができますが、描いているスピードや手の動かし方細かい陰影の付け方などはやはり実際に見てみないとわかりづらいところがあります。

 

基本的にマーカーと鉛筆、色鉛筆あたりを駆使しながら描いていくのですが、先生が描いてくれる様子を直接見られないはずなので、絵を描くときの挙動が捉えづらいという欠点がオンライン下ではあるのだろうと思います。

 

Photoshopを使ったデジタルスケッチは逆に問題なさそうです。むしろ、自宅環境の方が整っている方も多いのかなと。

 

 

制作が絡む授業はオンライン対面問わず、基本的に個別もしくは集団でレビューを受けて、各自制作に取り組むという流れです。

毎週やることは変わりますが、コンセプト、アイデア出し、スケッチを経て、ラフモック、ファイナルモデル制作と進んでいきます。

 

基本的にどの授業も(初期)中間、最終プレゼンがあります。この点に関してはオンライン、対面で同じような構成になっています。

 

内容をオンライン化前後で比較すると、やはりモデルを作るための環境を全員が平等に持っているわけではないので、現在は全体的にコンセプトワークとデジタル(CADやスケッチ)での表現、平面的な成果物が中心になっています。

 

立体物を直接評価してもらえない点がかなり厳しいなというのが率直な感想です。

 

授業外

Slack

授業外のクラスの連絡について学校からは全てメールですが、学生間ではSlackでやりとりしています。

 

Slackは本当に便利で、対面授業の昨年からも大活躍でしたが、これがなかったらオンライン授業成り立っていないんじゃないかと思うほど。

やはり、学校側からの一方的なメールだけだと確認が漏れてしまったり、気になることを気軽に訊きづらいという心理的なハードルがあると思うので、心理的な面でも助けられています。

 

メールはLINEなどの登場で使用頻度が落ちていますし、現代の感覚にはちょっと合わないところってありますよね。

そんなメールに足りないコミュニケーションの不足部分を補ってあまりあるほど絶大な存在感と役割があります。

 

Slackでは授業連絡、雑談、趣味、デザインのTips、困っていること、おすすめの本などのチャンネルを作っています。

訊きたいことが気軽に訊ける、頼みたいことを周知できるので主に連絡に使用することが多いです。

 

Discord

学校に通うことにどういった意味を見出すかは人それぞれですが、不確実な出会いや関わりが起きることも大きな理由の一つです。

 

ましてや美大や芸大、私のようなデザイン学生にとっては、インスピレーション源を複数持つ、他者と交流して広げていくことは非常に大事なことです。

1人で悩んでいたり、方向性を模索しているときに他人の意見を聴くとスッと霧が晴れたように視界が開けることも多いです。

 

 

オンライン授業では気軽な雑談が難しく、自分の内側で創作のアイデアを醸成させることがほとんどになるなと開始直後に思っていました。

他人の意見やアイデアの壁打ちをするには環境的に厳しいと感じたので、ボイスチャットができるツールとしてDiscordを導入しました。これは学校とは関係なく、個人的に導入したものです。

 

 

Slackはなんとなく連絡用の立場が強くなってしまっていて、気軽にコメントを残していく空気がなくなってしまっていると感じたので、もっと気軽に会話や雑談を楽しむために使い始めました。

 

使い方は、授業ごとのテキストチャンネルと、作業用のボイスチャンネルを複数用意し、数人での会話がしやすい環境を作っています。

黙々と作業するためにも使えますし、画面共有やカメラ共有も可能なので、授業外の時間にも通話しながら作業したり、デザイン談義をしたりと非常に有効に使えている実感があります。

 

適当にボイスチャンネル入っておいて、そこに居合わせた人と話しながら作業ができるので学校に近い感覚を生み出せているんじゃないかと思っています。

Discord、本当におすすめです。

 

Miro

数週間にわたるグループワークではMiroを駆使して情報をまとめていました。

 

オンラインで利用できるホワイトボードツールです。

複数人での作業が同時に行えるので、アイデア出しからまとめるところまで完結できるのが強みです。

 

テンプレートも豊富で、各自リサーチした情報や画像を持ち寄り、マッピングするのに役立ちます。ユーザーリサーチ、ダイアグラム、マッピング、ブレインストーミング、などなど様々なことに使えます。

 

グループディスカッションの場合、発言を1人で書記がまとめていくのはかなり大変だし、その役割に回る人は記述に集中しなければならず戦力が1人減ってしまいもったいないので、全員がアイデア出しに参加するためにもこういったツールを適宜導入していくのは大切だと感じました。

 

オンライン環境下での課題制作

使用ツール

グラフィック

  • Adobe Photoshop
  • Adobe Illustrator

映像

  • Adobe Premiere Pro
  • Adobe After Effects

写真

  • Adobe Lightroom

CAD

  • Autodesk Fusion360
  • Rhinoceros

 

おまけ

  • Figma
  • Notion
  • 3Dプリンター

 

使い分け

レポート、スライドはpdfでまとめることが多く、私の場合はAdobe Photoshop、Illustrator、Acrobat、Figmaあたりを使うことが多いです。

 

動画制作の際にはAdobe Premiere Pro、After Effectsを使います。

動画でプレゼンテーションをする際には、素材を一眼レフやiPhoneで撮影し、Premiere Proで構成していきます。

やっていることはYouTuberの動画作成と何ら変わりないですね。

 

物撮りなんかも自宅に簡易セットを組んでいます。

自宅なのでライティング環境が厳しいですが、日中の自然光が入るタイミングであればそれなりに綺麗な写真をとることができます。

 

あとはバックペーパーとデスクライト、iPhoneのライトを駆使して何とか環境を作っています。

本格的な立体物を作る機会があまりなく、ラフモックの撮影程度なので今はこんな感じで大丈夫ですが、そろそろLEDライトの導入も検討しなければならないと思っています。

 

ラフモックなどはこれらの環境を駆使しつつ、最終的にLightroomで調整。

 

3Dモデリングは基本的にRhinocerosとFusion360です。

レンダリングが綺麗なのでFusionを使うことが多いですが、学校はRhinocerosが推奨ソフトで授業でも扱います。

 

課題制作

 

モックアップの制作が絡んでくる授業は、自宅で環境を整えなければならず、流石に家の中にある機材で精密な寸法のモックアップを作ることが難しいなと感じたので3Dプリンターを購入しました。

制作の初期段階ではスタイロフォームや、段ボール、ペーパーモック、粘土などを駆使してラピッドプロトタイピングをして、その後CADで起こしてみて3Dプリンターで確認するという流れで進めています。

 

対面で学校の設備が使える時は、木材やケミカルウッドをバンドソーという電動のこぎりで削ったり、旋盤、ベルトサンダーで形状を整えることができたのですが、それができなかったので3Dプリンターを導入した学生は多いんじゃないかと思います。

 

 

現在は、施設利用に制限はあるものの、予約すればつかえるようになっているので少しずつ学校の利用を進めていこうと思っているところです。

 

まとめ

 

現状のデザイン専門学校はこんな感じです。

 

個人的にはこういった不確実な出来事に直面したときに、環境から自分たちで整えていくスタンスはデザイナーの持ち合わせているべきマインドだと思うので結構楽しくやっているところがあります。通学の時間が結構かかっていたのでそこが減ったことは大きいですね。

 

ただ、やはり外部からの刺激やインプットについてはどうしても質も量も落ちてしまっているなと感じるので、できる限りいろんな情報に触れるようにしようと思っています。

 

 

学校説明会なども制限されてしまっていたため、乗れる限りご相談にも乗れるようにしたいと思っていますので、気になることや質問などがありましたら気軽にお問い合わせください。ちなみに学費は変わりませんでした。残念。(補助は少し出ました。)

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